野菜のブランチングは、野菜を短時間沸騰させてから冷水に浸す調理法です。この方法にはいくつかの目的があります：
- 色の保持：ブランチングにより野菜の鮮やかな色が保たれます。特に緑色の野菜（ブロッコリーやほうれん草など）に効果的で、クロロフィル（緑色の色素）が熱によって変化するのを防ぎます。
- 食感の向上：柔らかすぎず、かつシャキシャキとした食感を保つために使用されます。野菜をさっと熱してから急激に冷ますことで、適度な歯ごたえを維持します。
- 味の調整：ブランチングすることで、野菜の苦味や過剰な風味を取り除くことができます。特に青臭さが強い野菜や苦みが強い野菜に効果的です。
- 保存のための下処理：冷凍保存する前の下処理としても行われます。ブランチングにより、酵素の活性が抑えられるため、保存中の風味や色、栄養の損失が少なくなります。
野菜をブランチングする際には、適切な時間と温度が重要です。長時間煮すぎると色や栄養素が失われるため、通常は数分間沸騰したお湯に入れた後、すぐに氷水に移し変えることが一般的です。
野菜を冷凍するとベチャベチャになるのはどうして？
野菜の大部分は水分で構成されており、その割合は約80～90％にも及びます。
これらの野菜をそのまま冷凍すると、水分が膨張して細胞壁を破壊し、細胞の構造が損傷します。
この状態で解凍すると、壊れた細胞から水分が流れ出し、結果として野菜はベチャベチャとした質感になったり、食感が筋っぽくなったりします。また、野菜の変色の原因としては、野菜内部に含まれる酵素や微生物の活動により、色や質感が変化することが挙げられます。
ブランチングのメリットについて
ブランチングのメリットには以下のような点があります。
●解凍時のベチャベチャ感を軽減
●変色や質の劣化を防ぐ
●殺菌作用による衛生的な保存
簡単に言えば、ブランチングは食材の鮮度と品質を維持することに役立ちます。これにより、野菜を長期間保存する際にも、その鮮度と品質を保つことが可能になるのです。
ブランチングの手順とその重要性
ブランチングの基本的な目的は、野菜を適度に固めに加熱処理することにあります。
この加熱処理の重要性は、野菜を後で調理する際に再び加熱することが多いためです。事前に適度な硬さを保っておくことで、野菜が調理中に崩れるのを防ぎ、食感を保持することができます。
ブランチングの具体的な方法について詳しく見てみましょう。
1.まず、沸騰したお湯に野菜を入れ、短時間で固めに茹でます。
2.次に、野菜を迅速に冷水で冷却し、この急激な温度変化によって野菜の細胞に柔軟性を与え、解凍時のベチャベチャ感を最小限に抑えます。
3.その後、野菜から水分を十分に取り除き、フリーザーバッグに入れて冷凍庫で保存します。
ブランチングにおいては、茹でる以外にも、炒める、焼く、蒸すといった様々な加熱方法が可能です。これらは野菜の種類や、冷凍後の調理予定に応じて選択することができます。
また、電子レンジを使ったブランチングも一つの有効な方法として挙げられます。一般的には「茹でる」や「電子レンジ」を使った方法が多く採用されています。
ブランチングに向かない野菜はある？
ブランチングに向かない野菜もいくつか存在します。主に以下の理由により、ブランチングが適していないとされる場合があります。
〇水分含有量が高い野菜
きゅうりやトマトのように元々水分を多く含んでいる野菜は、ブランチングすると水分がさらに野菜内に浸透し、形が崩れたり、べちゃっとした質感になることがあります。
〇葉が非常に柔らかい野菜
水菜やルッコラなどの柔らかい葉物は、熱を加えるとすぐにしなびてしまい、食感や見た目が損なわれやすいです。
〇繊維が多くて硬い野菜
セロリやアスパラガスの下部のように、硬くて繊維質の多い部分は、ブランチングだけでは十分に柔らかくならず、食感が良くないことがあります。これらの野菜は、より長い加熱時間が必要で、ブランチングではなく、煮込みやグリルが適していることが多いです。
〇風味が薄い野菜
風味が元々薄い野菜は、ブランチングによってさらに風味が抜けてしまい、味が薄くなってしまうことがあります。そのため、風味が重要な役割を果たす料理には不向きな場合があります。
これらの野菜には、他の調理法がより適していることが多く、ブランチングではなく生食、焼き、蒸し、煮込みなど、それぞれの特性に合った方法を選ぶことが望ましいです。
まとめ
ブランチングは野菜を冷凍前に行う加熱処理で、水を沸騰させて野菜を固めに茹で、冷水で急冷する方法です。これにより、野菜の冷凍耐性が高まり、解凍時のベチャベチャ感や変色を抑制し、保存期間を延ばすことができます。
ブランチングは茹でる以外にも炒める、焼く、蒸すなどの方法があり、電子レンジを使用することも可能です。しかし、全ての野菜にブランチングが必要なわけではなく、水分が少ない野菜やキノコ類、トマトなどは生のまま冷凍することも適しています。
ブランチングは野菜の種類や冷凍後の調理法に応じて適宜行うことが望ましいです。
