言葉の歴史から紐解く「まつり」の語源と神社の言葉遣い


最近、御朱印帳を持ち歩く人が増え、一種のブームのようになってきました。神社やお寺が身近な存在となってきていると感じています。これは個人的にはとてもうれしいことです。
神社に足を運ぶと、何らかの特別な力を得る気がするのは不思議な感覚ですよね。神社にはさまざまな神様が祀られていますが、「祭る」と「祀る」という2つの言葉で表記が異なることに気付いた方もいるかもしれません。
現代では、これらの2つの言葉は同じ意味を持つ言葉として一般的に使われています。しかし、これらの言葉には興味深い歴史があります。古代においては、これらの言葉は同じ言葉でしたが、漢字が導入される過程で異なる意味を持つようになったのです。
「祭る」という言葉は、葬儀や現代のお盆を指す言葉でした。
一方、「祀る」は神様への祈りや儀式を指す言葉で、私たちにとって身近な神聖な儀式や厄除けがこれに該当します。
しかし、時代が進むにつれて、これらの言葉は再び同じ意味を持つ言葉として統合されました。
この記事では、「祭る」と「祀る」の違いとその語源について詳しく説明します。この情報があなたの疑問を解消するのに役立つことを願っています。
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 「祭る」と「祀る」の違いとは?

古代において、「祭る」と「祀る」は神様をまつることやそれに関連する儀式を指す同じ意味の言葉でした。しかし、中国から漢字が導入される過程で、それまで大まかに「まつり」と表現されていたものが、細分化され、「祭る」と「祀る」という2つの異なる言葉に分かれることとなりました。
以下では、それぞれの意味を詳しく解説します。
「祀る」という言葉は、神様への祈りやそれに関連する儀式を指す言葉です。現代では、神職が行う祈祷がこれに該当します。また、身近な例として、地鎮祭やお宮参り、厄除などのご祈願が挙げられます。
しかし、「祀」は常用漢字ではないため、公式な文章などでは「祭」に統一されることが一般的です。実際、広辞苑などの辞書でも「祀る・祭る」と一括りにされて掲載されているため、現代ではあえて使い分ける必要はありません。
神社は昔から続く伝統のある場所であり、そのため「祀る」という言葉を使用している場所では、古代から伝わる言葉をそのまま使用している可能性があります。これは、神社の独自の言葉遣いや伝統を守る一環として行われているかもしれません。

「まつり」の語源とは?


最初にお伝えしておきますが、「まつり」の語源については諸説が存在し、正確なものは確定していません。それでも、代表的な2つの説をご紹介します。

もともとは物事を献上するときに使われていた「まつる」

「まつる」という読み方をする言葉は、いくつかの意味で用いられてきました。その中でも、「奉る」や「献る」といった言葉は、貴族や神様など、自身よりも上位の存在に対して何かを差し上げる行為、奉納することを指します。
これは神様に何かを捧げる行為と同様の意味を持つため、神事に関連する言葉として広まりました。そして、そこから「祭る」と「祀る」が派生し、それぞれ異なる意味を持つようになったと言われています。

古来の祭事や神事で使われていた言葉が語源?

古代には神の霊を招くための儀式が行われ、その際に使われていた言葉に「待つ」「順う(まつろう)」「参る」といったものがありました。
これらの言葉は、似たような意味を持ち、「待つ」は「神が降りてくるのを待つ」、「順う」は「神様に従う」、「参る」は「神様の側に立ち、祭りに参加する」という意味で使用されていました。これらの言葉が変化し、「まつ」「まつろう」「まいる」などとなり、現代の「祭り」という言葉につながったと考えられています。

まとめ

言葉は変化し続けるものであり、「まつる」という言葉もその例外ではありません。
古代から伝わる言葉が時代とともに変化し、新たな意味や用途が加わることは、言語の進化の一部です。
また、神社はその伝統を守る場所であるため、古語や古代の言葉をそのまま使用していることがあります。神社を訪れる際に、どの「まつる」が使用されているのかを気にしてみるのも興味深いでしょう。

「祭る」と「祀る」は、どちらも神や霊を尊ぶ意味合いを持つ日本語の動詞ですが、使い分けや意味に若干の違いがあります。

●祭る(まつる)
「祭る」は、一般的にはお祭りや行事、儀式など、形式的かつ公的な儀式を行う際に用いられる言葉です。また、神社での神事や、季節の行事、お祭りなどを執り行う場合に使われます。広い意味で、何かを祝う行為全般に使うことができます。

祀る(まつる)
– 祀るは、霊や神をお祀りする、つまり霊を安置して供養するという意味が強いです。家庭の神棚や墓地での祖先の供養など、もっと個人的かつ私的な範囲で使われることが多いです。特定の場所に永続的に神や霊を安置し、日常的に供養を行う意味合いが含まれます。

つまり、お祭りや特定の儀式を行う場合は「祭る」、日々の供養や恒常的な神や霊の扱いには「祀る」を用いるという違いがあります。

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