日本各地でお盆の呼び名は異なるため、この記事では「新盆」と「初盆」の読み方、地方ごとの呼び名の違い、そしてそれぞれの意味について解説します。また、新盆の準備で必要な物やお供え物についても詳しくご紹介します。
新盆の呼び方について
「新盆」という言葉は、以下のように複数の読み方があります。
にいぼん
しんぼん
あらぼん
一般的には「にいぼん」と読むことが多いですが、「しんぼん」や「あらぼん」と呼ばれる地域もあります。これらの読み方が地域によって異なるのは、お盆の文化や習慣が地域ごとに違うからです。
初盆の呼び方について
「初盆」という言葉は主に以下のように読まれます。
はつぼん
ういぼん
ほとんどの場合、「はつぼん」と読むのが普通です。新盆とは違い、初盆にはそう多くの異なる読み方はありません。
地域に根ざした文化や伝統が、同じ国内であっても様々な呼び名や習慣を生み出しています。この地方ごとの読み方の違いを知ることで、日本の豊かな文化的多様性を深く理解する手がかりになるでしょう。
日本各地の「新盆」と「初盆」の呼び方の違い
日本には、故人の初めてのお盆を指す「新盆」と「初盆」という二つの言葉がありますが、これらの呼称は地域によって異なります。
私の行った調査によると、関西地方では「初盆」を「はつぼん」と呼ぶのに対し、関東では「新盆」が「にいぼん」、「しんぼん」、「あらぼん」と複数の呼び方で知られています。
例えば、東北地方や四国では「にいぼん」と呼ばれることが多いですし、東京や長野では「しんぼん」という呼び方が用いられています。また、九州地方では「初盆」が「はつぼん」と呼ばれており、これによって地域ごとの文化や習慣の違いがうかがえます。
私自身が住んでいる関東地方では、「にいぼん」という表現が一般的で、私の義母もこの言葉を使っています。
新盆と初盆の本来の意味
新盆と初盆は、どちらも故人が亡くなってから初めて迎えるお盆を指します。これは通常、故人の死後四十九日が過ぎた後に行われるものですが、四十九日を迎える前にお盆の季節が到来した場合、その扱いは宗派や地域によって異なります。
例えば、四十九日が終わっていない場合でも、その年のお盆を「新盆」として扱うことがあるのです。どのように対応するかは、法事を行うお寺に相談して決めることが最良の方法です。
また、地域によってはお盆の行事が旧暦の7月15日頃か、新暦の8月15日頃に行われる場合が多いですが、新暦導入後も7月にお盆を行う地域が存在します。
お盆は故人が家族のもとへ戻るとされる時期であり、親戚が集まって過ごす賑やかな時でもあります。新盆は特に、故人が亡くなってから初めて迎えるお盆であるため、非常に丁寧に行事が行われることが一般的です。
新盆と旧盆の時期の違い
「新盆」という言葉には「7月に行われるお盆」という意味もありますが、一般的には8月のお盆を「旧盆」と呼びます。
このような区別が存在するのは、明治時代の改暦によってお盆の開催時期が旧暦の7月と新暦の8月に分かれたためです。
その結果、新盆は旧暦での7月に行われるお盆を指すこともありますが、この用法は主に東京の一部で見られるもので、日本全体では8月にお盆を行うのが一般的です。
故人が亡くなって初めてのお盆である意味の「新盆」と、この時期に行われる「新盆」と旧盆との違いに注意が必要です。お盆の理解を深めることで、故人を偲ぶ心がより豊かになります。
新盆の準備とお供え物の詳細ガイド
新盆を迎える準備は、まずは日程を決めることから始まります。この時期には親族や親しい友人たちを招待するため、早めに皆のスケジュールを確認し、調整する必要があります。さらに、集まった皆が楽しめるような食事の準備も欠かせません。
次に、お坊さんと連絡を取り合い、法事の日時やお供え物について相談します。新盆では故人を心から迎え入れるため、細かな準備が求められるのです。
●新盆のお供え物リスト
・そうめん：ギフトパッケージのそうめんをお供え物として用意するのも良いでしょう。
・水：毎日新鮮な水を供えます。水道水で十分です。
・季節の果物：詰め合わせや箱入りの果物はお供えとしてぴったりです。
・精霊馬：野菜で作る牛や馬の形をしたもので、先祖の霊を迎えるために用います。
・団子：8月13日は「お迎え団子」、14日から15日は「お供え団子」、16日は「送り団子」と、日によって異なる団子を用意します。
・供花：菊花だけでなく、フラワーアレンジメントでも構いません。
・現金：お花代として、5000円程度を封筒に入れて持参します。
精霊馬の意味については、きゅうりで作った馬が故人を迎えに行き、茄子で作った牛でゆっくり帰るという願いが込められています。
これらのアイテムは、精霊棚（しょりょうだな）に飾り、仏壇の前に設置します。また、位牌もこの場所に置かれます。
お盆の期間は三部分に分けられ、それぞれの時期に合わせたお供え物を変える習慣もあります。さらに、故人が迷わず帰れるように盆提灯も飾ります。新盆では、特に白い提灯を使用し、お盆が終わった後にはお寺でこれを供養してもらうのが一般的です。
このような丁寧な準備により、新盆では故人が心安く帰って来ることができるように努めます。提灯や精霊馬など、象徴的なアイテムは故人が迷わずに帰るための目印となり、故人との絆を感じさせる大切な役割を果たします。
新盆の準備は形式的なものではなく、故人に対する深い愛と敬意を示す行為です。この準備を通じて家族は故人を偲び、亡き人の魂が喜ぶような迎え方を心がけることが大切です。
それは同時に、家族や親族が一堂に会し、互いの絆を再確認し合う貴重な機会ともなります。
新盆や初盆の行事を大切にすることは、ただ故人を偲ぶだけでなく、生きている家族間の結びつきを強化し、共有された歴史と記憶を称える方法でもあります。これらの行事を通じて、家族は亡くなった人への敬意と感謝を表現し、その魂が安らかであることを祈ります。
故人がこの世を去っても、家族としてのつながりは続きます。新盆の準備をきっちりと行うことで、故人の魂に対する敬愛を示し、家族の愛と結束を確かなものにすることができるのです。
お盆は日本の各家庭にとって大切な時期であり、故人の魂が一時的にこの世に戻ってくると考えられています。このため、家族や親戚が一堂に会して故人を迎え入れ、共に時を過ごします。この伝統は、日本の文化や信仰の深さを示しており、多くの人々にとって年間行事の中でも特に感慨深いものとなっています。
また、新盆においては、故人の初めてのお盆ということで、さらに厳粛な雰囲気の中で行事が進められることが一般的です。家族は故人を偲びながら、お墓参りや供養のための様々な儀式を行い、故人の魂が安らかであるよう祈ります。
まとめ
日本全国には「新盆」と「初盆」と呼ばれる、故人の魂を迎えるためのお盆の慣習がありますが、その呼び名や具体的な行事の内容は地域によって異なります。
これらの違いを理解し、適切に行事を行うことで、故人に対する敬意を表し、家族の絆を深めることができます。
新盆と旧盆の違いについても正しく理解し、各家庭に合った方法でお盆を迎えることが大切です。故人を偲び、家族が一つになるお盆の時期は、日本の文化的な豊かさを感じさせる特別な時です。
